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技術論文

市街地の砂防ダム建設工事での取組み

令和6年度表彰 高知県優良建設工事施工者表彰

有限会社三本建設 野口 英幸

施工:有限会社三本建設
監理技術者:有限会社三本建設 野口 英幸


1. はじめに

砂防ダム建設工事

当該工事場所は、須崎市赤崎町の市街地に位置し、二級河川御手洗川に流入する土石流危険渓流である。
保全対象として病院2箇所、介護保険施設1箇所、児童福祉施設1箇所、事業所5箇所、人家77戸、県道315号、市道がある。
土石流による災害を防ぐ砂防ダムは、地域住民においても安心して暮らすための重要な施設となる。


2. 工事概要

工事名 御手洗川(2)通常砂防工事
砂防堰堤工 ・本堤工    ConV=922m3
・掘削土搬出量 V=3600m3
 

3. 施工特性

今回の施工は、1期目工事であり伐開作業に始まり、本堤の掘削を行い、本堤の約40%を完成させる工事である。
工事用車両運行経路の市道は狭く、住宅地を通行し県道315号を経由する。通勤時間帯は交通量も多く、民家や集合住宅、須崎くろしお病院職員駐車場が隣接し歩行者や自転車運転者も多い。


4. 工事内容を明確に伝える、地域に配慮した工事。工事関係者の安全意識の徹底。

今回工事の生コン打設量はV=922m3、掘削土搬出量V=3600m3、全て4t車での運搬となる。

  • 砂防工事のお知らせを市道運行経路沿い民家及び集合住宅の全世帯、須崎くろしお病院に配布した。現場近隣の民家は戸別訪問を実施した。
  • 市道沿いの目立つ場所に工事のお知らせの拡大掲示を行った。
 
  • 注意箇所マップを作成し、工事関係者に安全運転を徹底した。
  • 生コン会社にも事前に現地に来てもらい、注意箇所マップを使って安全運転を徹底した。すれ違い待機場所の確認も行いスムーズな運行を実践した。
 

  • 通行予定日看板を設置し、4tダンプ車及び4tミキサー車の通行日の予告を行った。
  • 当日には、回転灯を付けた本日土砂運搬作業中看板及び本日コンクリート打設中看板を設置した。

【効果】

  • 工事期間中のクレームは0件
  • 工事期間中の交通事故災害は0件
  • 工事関係者の安全意識の向上により、市街地における地域に配慮した施工ができたと思う。

5. 本堤工の出来形精度、出来栄えの向上

  • 外観も良く出来栄えの良い構造物に仕上がった。
  • 県規格値40%以内で完成。
  • 工事成績評定の出来形、出来栄えの項目で満点の評価 をいただいた。

6. 生コン打設時のロスタイムをなくし、連続した打設により品質確保打設時間短縮により近隣住民の負担軽減

  • ポンプ車打設の為、4tミキサー車の供給スピードを一定に保ち、連続した打設による品質確保が課題であった。
  • 須崎生コン鰍フ4tミキサー車は他工事でも引き合いが多く、今回工事に手配できる台数は、3台/ 打設日であった。
  • 須崎生コン梶`現場まで片道2. 3km、ポンプ車圧送管延長L=80m、最大打設量ConV=82m3/日の条件を踏まえて検討した結果、一定した供給は難しくロスタイムが発生してしまうことが判明した。また、長時間打設による近隣住民の負担も懸念された。

【対策】

  • 生コン積替え場所を設置し、供給スピードを一定にすることで打設中のロスタイムを最小限にする。
    現場から約300mの位置に10tミキサー車から4tミキサー車への生コン積替え場所を設置し、3台の4tミキサー車を効率的に稼働させた。

【効果】

  • 生コン供給ロスタイムを最小限に抑えることができ、連続した打設により品質を確保することができた。
  • 生コン打設時間を短縮でき近隣住民の負担を軽減することができた。

7. おわりに

市街地での砂防ダム建設工事において、地域住民の負担を最小限にすることを心掛け、工事関係者全員で無事故無災害を達成するよう取り組みを行いました。
工事車両を多数運行させる日は、いろいろと心配もありましたが事前に運行経路や近隣の調査を行い注意箇所マップを作成し工事関係者に明確に伝達できたことが良かった思います。
地域の信頼を得るためには、地域が安心できる工事を実施すること、丁寧な施工をし構造物を完成させこと、改めてこの現場を通じて学ぶことができました。
今後もこの砂防ダムを無事に完成させることができるよう更なる努力を続けて行きたいと思います。