構造形式 | PC13 径間連続有ヒンジ連続箱桁橋 (ディビダーク方式) |
---|---|
竣工年 | 1977年(昭和52年3月竣工) |
適用示方書 | S46道路橋耐震設計指針(S55道示より前) |
橋長 | L=1,007u |
支間 | 60.00m+11×80.50m+60.00m |
幅員 | 全幅9.00m(車道6.50m、歩道1.50m) |
橋脚形式 | 壁式橋脚(柱頭部剛結構造) |
基礎形式 | ニューマチックケーソン |
施工方法(架設) | 片持架設工法 |
仁淀川河口大橋は、昭和52年3 月に竣工された、橋長1 , 007mの高知県が管理する道路では最長の橋梁である。
当橋梁が位置する主要地方道須崎仁ノ線は、高知県における第2次緊急輸送道路に指定されており、優先的に耐震補強対策を行っている。
当橋梁の耐震補強対策として、12本の橋脚のRC巻き立てと橋台の沓座拡幅を計画しており、平成30年7月までに、陸上部の橋脚 P 1 , 10, 11, 12の4本の橋脚の耐震補強が完了したところである。
主な工種は、橋梁巻立て工(P 3 )V=178m3、土留・仮締切工(ライナープレート)φ10.5m・H= 9.5mである。
仁淀川の河口部は、毎年砂州の形状が大きく変移し、また、非出水期は慢性的に河口部が浅瀬になることから、外洋からの台船の進入も困難な状況であった。また、当現場周辺は、12月から 3 月までシラス漁が行われており、大規模な仮設計画が立てづらい状況であった。
現場状況 |
大規模な土留・仮締切工を計画した場合、施工可能な非出水期内の 6 割程を占め、橋脚のRC巻立てを完了出来ないことから、陸上運搬による簡易組立台船にて、橋脚柱部にプラットフォームを設置し、ライナープレートを設置していく、LPF工法(県内初施工)を採用することとした。
簡易組立台船及び、潜水士にてブラケット及びプラットフォームを既設橋脚に設置する。
プラットフォーム上部より吊治具を6 箇所設置し、ライナープレートの組立・降下・設置を行う。
LPF工法の特性として、小規模な仮設設備によりライナープレートを構築するため、その後の本体工事を行う際も、大型台船等が無い状態で行わなければならない。
また仮締切工内(φ10.5m)で既設橋脚(幅5.4m・延長3.0m)周囲に組み立てた狭隘な仮締切内での出来形・品質・出来栄え向上を図る為に、以下のような工夫を行い施工を行った。
鉄筋(D38, 25)については、橋脚上部からクレーンで足場内に取り込み、その後は減らし、作業の効率化を図った。
ライナープレート設置時に使用した、吊治具及びプラットフォーム・簡易組立台船を利用し、資材の昇降や資材の仮置き及び足場として、作業効率の向上及び工程短縮を図った。
出来形向上としては、狭い環境下でも計測可能なレーザー墨出し器を採用し型枠組立時、脱型時に偏心確認を行い、出来形向上を図った。
品質向上としては、有識者参画の上で打設計画立案を行い、水位の干満による湿潤・乾燥を繰り返す箇所のクラック発生の予測・対策を行い、コンクリートには多機能コンクリート改質剤を採用し、長期のクラック抑制を施した。
また、一部可視型枠を採用し、コンクリート打設時の打ち上がり高さ・異物混入・充填不良等の有無を点検し、出来形・品質・出来栄えの向上を図った。
仁淀川河口内での工事となる現場特性を踏まえ、止水コンクリートに添加する水中不分離剤を2.5s/m3から3.0s/m3に増量させ、水質汚濁防止対策を取り、型枠剥離剤にはエコマークの生水分解性剥離剤を採用し、月毎に水質調査を行った結果を掲示した。河川に対する環境への配慮を行うことで影響低減となった。
また地元水産会社主催のシラス漁採捕期間の前後には仁淀河口〜新居海岸一斉清掃活動に積極的に参加し地域住民や関係組合等の理解を得て、工事を進めることができた。
当現場条件は、仁淀川河口部にあり、気象条件の影響を受けやすく、また周囲ではシラス漁が行われており、水質、振動等に厳しい目が向けられる現場であった。
そのため、大規模な仮設計画を立てることが難しく、採用したLPF工法は県内では初施工であり、かつ、仁淀川河口大橋の水中部橋脚工事としても初めての施工であった。
その中、従事する職人 1 人 1 人の技術力、様々なアイデアを出して、試行錯誤をしながら進めていった現場でもあった。
その結果、発注者及び関係機関のご協力をいただき、工事を無事完成することができた。今後、本現場での経験を生かし、積極的に取り組んでいきたい。