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技術論文

おおくの困難をのりこえた
道交地防安(修繕)第301-028-2号 県道春野赤岡線(浦戸大橋)防災・安全交付金工事について

平成29年度高知県優良建設工事施工者表彰

土佐新高建設 株式会社
現場代理人 松浦 誠  主任技術者 吉村 直則

1.施工特性

  • 当該工事は、高知市南部の経済・観光を支える大動脈である浦戸大橋の橋面舗装修繕(路面切削・橋面防水・舗装)工事である。

  • 浦戸大橋は多くの観光客が通行するとともに、高知県南部の幹線道路として、常時渋滞が発生するほどの交通量がある。(日20,000台)

  • また、他の工事(国土交通省高知河川国道事務所高知海岸出張所の海岸工事)と(浦戸大橋の橋梁補強工事)の工程の調整をおこなう必要があった。

  • 当該工事は浦戸大橋の橋面舗装工事であり、下には種崎・浦戸の集落がある。また、中間部の下は高知港に出入りする多くの船舶が航行している。従って、工事期間中は落下物がないように、細心の注意を払う必要があった。


2.当該工事での課題

  • 大きく以下3点の課題があった。
  1. 発注形態は昼間施工であり、片側交互通行とする必要があることから、大規模な交通渋滞を引き起こすことが確実視されていた。
  2. 夜間施工に変更した場合には、騒音により地元住民に迷惑をかける恐れがあった。
  3. 大型客船寄港時には、現場を多くの観光客が通行することが予想され、それへの対応が求められていた。
    工事による交通渋滞が発生することを利用者へ、事前に出来得る限りの方法で周知することに尽力した。また、地元住民と土木事務所、また弊社とが協議を重ね、工事の大半を占める重機を使用して大きな騒音が懸念される車道部の修繕については昼間施工とした。安全上片側交互通行が必要ではあるものの、重機を使わず騒音の無い歩道部の修繕は夜間で施工することで了解を得、昼間施工による交通渋滞日数を縮小することとした。さらに、大型客船の寄港時は高知県観光課の要望等を加味して、休工とすることにした。

1日平均20,000台程の通行量

施工期間中には延9回の大型客船入港

3.事前通知

  • 地元の理解を得る
    車道部の修繕を昼間施工で行うにあたり、事前に種崎・浦戸の町内会に説明し、了解を得る必要があった。先行して行っていた橋梁修繕工事での町内会へ対応した経緯も参考にさせていただき、土木事務所と共に説明を行った。
    種崎町内会へは、連合町内会長と打合せを行い、各役員を集めていただき説明会を開催し工事の説明を行った。その場でいろいろな要望をいただきましたが、それを施工に反映することにした。
    浦戸町内会は、連合町内会長と詳細に打合せを行い、お知らせ文で周知することになり、その作成に当たっては町内会長が弊社まで出向いていただいて打合せを行い、町内へ配布していただくことになりました。
    種崎・浦戸とも非常に静かな住環境であり、工事を行うことで地元の皆様に迷惑をかけないために、施工中は現場に騒音計、振動計を常備して測定すると共に、町内で地元の方々の騒音に対しての感想も聞きながら、さらに県と常に連絡を取りながら、施工手順等を調整しながら慎重に施工を進めた。

  • 地元への事前の「お知らせ」として、種崎地区の全戸配布用1200枚、町内掲示板用20枚のラミネートパックと、浦戸地区全戸配布用46枚、掲示板用25枚のラミネートパックを作成配布し周知を図った。施工が始まってからは、工程の要所で工事の進捗を地元の皆さまにお知らせを行いました。
    種崎町内会は掲示板用に各回20枚のラミネートパックを作成、浦戸町内会は回覧板用を作成、各回46枚の文章を配布して周知を図った。あわせてボランティア活動にも注力し、地元の方とのコミュ二ケーションを深めた。

効 果

2つの地区への大量のお知らせ等に多大の労力を要したが、地元の皆様と良好なコミュニケーションを維持でき、工期全般にわたって順調に工事を行うことができました。

労働ボランティア活動 騒音計・振動計による測定
浦戸地区 種崎地区
  • 一般への工事の周知
    事前に弊社で浦戸大橋の時間毎の交通量の調査を実施しましたが、20,000台程の日通行量が確認できた。 こうした状況下で片側交互通行とした場合、大規模な交通渋滞が発生することが確実視され、橋を利用している一般車両、関係する業界、団体への工事の予告を実施することとした。併せて、隣接して施工 している国土交通省の長浜海岸工事関係者と浦戸大橋の橋梁補強工事の関係者へも周知する等、出来る限りの事前周知に努めた。
    それに加えて、既設の県の通行規制予告看板施設が香南市〜須崎市まで整備されていたので、本工事用に表示させて頂き、併せて、現場前後の県の電光板にも本工事の施工予定を表示して頂き、さらに県から報道機関、道路情報センターへも情報伝達を行って頂いた。また、高知土木事務所と高知県庁のホー ムページにも掲載して頂いた。

  • 弊社からは、想定される関係機関14団体「高知県森林組合連合会、高知県トラック協会、高知県建設協会、高知市中央卸売市場、御畳瀬漁協、浦戸漁協、高知漁協、十市漁協、桂浜観光、高知県園芸農業協同組合連合会、とさでん交通、竹林寺、禅師峰寺、雪渓寺」等へ足を運び、約600枚の文章を配布し、周知徹底を図った。

効 果

橋利用の関係機関、隣接工事の関係者、報道機関等へ高知土木事務所と共に事前周知のために、奔走しました。
結果として、大きな混乱もなく無事に工事の完成を見ることができました。

県道の道路情報板への掲示

県道の大型電光板への掲示

通行規制実施時の情報共有と活用
通行規制実施時には、当社が通行規制区間を車で往復して、東西の渋滞の長さ、規制を通過するに要する時間等の把握に努めた。その他にも県からも情報を頂き、いち早く東西の車の流れを調整し、渋滞の緩和に努めた。
通行規制日には、作業終了後、土木事務所において当日の交通渋滞の状況の報告と改善案、苦情の共有と対策、工事看板の追加・変更案、施工方法の課題と改善等の打ち合わせを行い、是正対応に努めた。この作業は通行規制日の全日に及んだ。
また、施工期間中は通行規制の実施情報を、県の他の部署や、道路情報センター、国土交通省高知海岸出張所、近隣の施工中の工事関係者へ毎日メール配信し、情報を共有した。

効 果

最新の交通渋滞情報をタイムリーに伝達することができた。また、迂回できそうな箇所に新たに予告看板を設置する等して、交通渋滞の緩和に役立てることができた。

迂回を促す案内看板 現場よりリアルタイムで渋滞情報の確認!!
工事看板追加  

4.橋面施工の生命線であるシート系防水の重ね幅を確保する工夫に腐心した。

シート系防水についてはシートの重ね巾を確保することが重要だが、特にセンター部付近については、狭小な車道幅員もてつだって困難を極めた。そこで、次のような工夫で乗り切った。
最初の片側車線を施工した際、センターラインより重ね幅分だけオーバーラップさせて施工した。防水シートの上には薄板を置いて保護し、舗装をしておいた。その後反対車線は、センターラインまでオーバーラップ部分を含め切削したが、その時にセンターラインの防水シートが損傷しないよう施工できた。

効 果

ラップ部のシートを保護しておくことで、シートの上を切削した時にもシートを損傷することなく、規定の重ね幅を確保して、橋梁長寿命化の要である防水効果を確保することができた。

防水効果の確保!!

5.舗装の施工ジョイントのタックコートの工夫

従来は舗装のジョイントに乳剤を塗る作業をブラシ(人力)で行っていたが、時間がかかるうえに均一に塗ることが難しく、さらに、車道の中でかがんで作業するので安全面でも問題があった。そこで本工事では、新しく考案されたジョイントに乳剤を散布できる小型スプレヤーを新規に導入して使用した。

従来のブラシ(人力)による作業   小型スプレヤーによる作業
作業に30分〜45分かかっていた。   作業時間5分〜10分に短縮

効 果

ブラシで塗っていた時は30分〜45分かかっていたが、スプレヤーを導入することで5分〜10分で均一に散布でき、さらに、立ち姿勢で作業できるので安全性が確保できた。
機械の導入には、それ相応の経費を要したが、限られた時間内での工事の工程短縮、安全性の向上、品質の向上に寄与できたことには大いに意義があった。


6.通行車両の運転者様への対応

通行規制実施期間中は、弊社社長が毎日自ら現場に立ち、工事へのご理解とご協力をお願いすると共に、感謝の意を表すためお辞儀を行った。

 

効 果

影響力のある弊社社長がお辞儀をすることで、現場を通る通行車両の運転者様からお叱りを受けることもなく工事を実施することが出来た。通行規制の日を追うごとに、通行者の中に顔見知りの方も増え、表情が和らぐのが見てとれ、理解が深まったことを実感した。


7.非破壊密度試験・すべり抵抗試験による品質管理

防水シートの上の舗装なのでコアーを抜くことが不可能だったが、縦断勾配が7%と大きかったこともあり、表層の締固め度は確認する必要があると判断し、高価ではあったが非破壊密度測定器を導入して締固め密度を測定した。
あわせて公共工事の必須管理項目とはなっていない、縦断勾配区間でのすべり抵抗の測定も重要と判断し、左右車線で測定を行って品質の向上に努めた。

効 果

急勾配舗装で重要となる品質管理項目について、新たな機械の導入により、自社規格値(県規格の倍精度)を満足する値で仕上がっていることが確認できた。

非破壊密度測定器を用いて密度管理    
従来はコアー採取により密度測定を行っていたが、橋面防水(シート)を傷つける恐れが有る為、非破壊密度測定器により密度を測定した。
 

すべり抵抗測定器を用いてすべり抵抗管理
 

8.落下防止ネットを設置

当該工事は浦戸大橋の橋面舗装工事であるから、下には種崎・浦戸の集落、道路、他社の工事現場等がある。万が一にも落下物があってはならないので、落下防止柵を設けた。板の設置等も試行したが、日々150mの仮設・撤去を繰返す必要があり、施工性の良い細目のネットで施工した。

安全管理・落下防止柵    

効 果

ネットにより、砂粒やホコリまでしっかり受け止められて、落下物防止に効果抜群であった。なお、ネット撤去時には業務用大型掃除機により砂・ホコリを回収し、安全性の確保にも努めた。


9.作業員の安全確保(ヘルセンサー)

現場は狭小のうえ、一般車両にも、気を取られながらの作業になる。
そこで弊社は、作業員の安全を確保するために、ヘルセンサーを当工事でも活用した。
ヘルセンサーとは、作業員のヘルメットの後ろに受信機、重機には発信機をを取り付け、重機が接近すると音と振動で知らせる。

効 果

通常気が付きにくい後方からの接近に反応し、作業中の騒音の中でも、ヘルメットのあご紐が振動することで、危険を察知することができた。
なおそれに加えて、日頃より実施している、指差し呼称による安全確認で現場を進め、接触事故等なく現場を終えることができた。

安全管理・ヘルセンサー 重機に発信機
  ロードローラ タイヤローラ
 
発信機を付けた重機が作業員に近づくとヘルセンサー受信機が音と振動に
作業員のヘルメットには受信機    

10.工事看板の工夫

現場は観光地の桂浜に隣接しており、また、高知新港に入港する大型客船のお客さ様の観光のルートでもあることから、工事看板を一工夫し、休工日には一転して観光客を歓迎する看板に衣替えすることとした。また、日頃には一般交通に迷惑をかけていることを踏まえて、休工日には「工事にご協力ありがとうございます」と表示するように工夫した。

工事予告看板にマグネットで貼り付けるイメージアップ看板  

効 果

延9回の大型客船入港日は作業を休工とし、工事看板を一転して高知県を訪れた観光客の皆様を歓迎する看板にしました。このことにより、県の観光行政に多少なりとも寄与できたと自負しています。

イラスト入り特注マグネットで観光客を歓迎する看板に衣替え。

11.終わりに

ご協力していただいた二つの町内会の皆様、そして通行規制による渋滞の情報の共有や、苦情への対応、毎日の電光情報版への掲示など、事務所一帯で協力していただいた高知土木事務所のみなさんへ感謝いたします。
また、工程を調整していただき、当工事の通行規制にご協力いただきました、近隣工事の皆様にも感謝いたします。
この工事にたずさえ得た経験を生かして、これからも道づくりに励んいきたい。

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