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技術論文

道交国(改築)第109-213-3号  国道439号社会資本整備総合交付金工事について

平成27年度 高知県優良建設工事表彰

有限会社山中建設 和田 英明有限会社 高橋建設 高橋 伸幸


1. はじめに

本工事は、国道439号線郷工区の道路改良工事の最終区間でした。カーブが連続し、幅員も狭いため、地域の皆様からも早期の改良が望まれていました。
工事区間は現道にも隣接し、一般車用も多く四国カルストにつながる県道にも隣接した場所です。先の台風により、主たる観光ルートが被災し現場に隣接した県道が唯一の観光ルートとなり、観光客の車両も増加する事が見込まれました。

工事概要

2. 工事概要・工事内容

工事概要
工事番号 道交国(改築)第109-213-3号
工事名  国道439号社会資本整備総合交付金工事
工 期  平成26年8月9日〜平成27年3月25日
工事内容
施工延長 L=92.5m
切 土 V=9350m3
山留擁壁工 A=698m2
防護柵工 L=71.0m

3. 施工段階での課題

@軟弱地盤での施工

3.1掘削、残土運搬、石積、床版縦壁、現場打ち床版の順押し施工による工期内完成。

3.2切土施工により、近隣住民の生活道が無くなるため、生活道の確保及び切土面からの転落防止、掘削による騒音・振動・粉塵の抑制。

3.3床版縦壁(H=4.0m.B=0.5m)のコンクリートが分離しない打設方法の検討及び工程短縮

4. 対 策

3.1 工期内完成について

工事日数200日で、実作業日数172日。8月9日より準備工に14日、掘削・残土処理に33日、 石積擁壁に50日、床版縦壁に44日、現場打ち床版に39日、防護柵に7日で計187日になります。  
実作業日数172日に対し187日かかると工期内完成はできません。  
どこで工期を短縮するか、何が短縮できるかを考えました。

掘削に対しては、ダンプの台数を増やしても事故等のデメリットが増し、通行車両に迷惑がかかる。  
石積擁壁は2班での施工を考えて、最適人数の配置を考えこの日数が必要。床版縦壁に対しても同様でした。又、現場打ち床版の支保工を石積前面へH型鋼で施工した場合、設置、撤去時に振り戻しによる転落事故等があげられ危険であり、サポート支保工は足元が安定せず設置不可能と考えた。   
そこで考えたのが現場打ち床版を二次製品にするとどうか?   
H型鋼での支保工での設置の難易度、設置・解体作業中の転落。養生日数の削減が可能になる。    
以上の考慮の結果、適応する二次製品は無いかメーカーに確認したところ二次製品の床版があり据付け手間4日で床版が施工でき約35日の工期短縮ができた。施工日数も152日で工期内完成が可能になりました。

二次製品の床版
裾付け状況
裾付け状況

又、安全対策として親綱を張り、安全帯を使用し開口部からの転落防止。安全幕による注意喚起を行いました。

安全帯の使用
親綱の設置
安全帯の設置

3.2 近隣住民の生活道の確保及び切土面からの転落防止、掘削による騒音・振動・粉塵の抑制について。

重機の移動等の振動が近隣家屋に影響がないか、振動計を設置し測定を 設置し測定を行った。測定の結果、異状はなく地元住民から苦情もありませんでした。  
騒音、振動に対して、掘削途中に転石が多数あり、家屋に近い所は静的破砕剤を使用し、他の場合は家屋より離れた場所に移動し、大型ブレーカによる破砕を行い、出来るだけ近隣住民の騒音による負担の軽減を行いました。

粉塵に対しては、現場付近、残土処理場等の搬出経路に散水・洗浄を行いました。

家屋より離し大型ブレーカによる粉砕 家屋に隣接する転石
振動計の設置
静的破砕剤使用のための削孔
現場付近の散水

近隣住民の生活道の確保につい ては、生活道の確保の為、近隣の 人に相談し庭を通路として確保し、 転落防止柵に長期の設置となる為、 圧迫感の少ない大和張りの柵を設 置しました。

圧迫感の少ない柵の設置
掘削による生活道の確保

3.3 床版縦壁(H=4.00m・B=0.50m) のコンクリートが分離しない打設方法の検討及び工程の短縮について

施工方法の周知徹底

打設高さを1.0m以下に抑えるため、バッカンにサニーホースを取付けて打設高さを確保しました。 また、打設マニュアルを作成し作業員に周知徹底を図り施工しました。 結果、コンクリートの材料分離無く仕上がりました。

サニーホース使用による打設高さ調節

又、外気温度、コンクリート内部温度、養生内温度の測定を行い、冬季の養生温度の確保、及び養生期間の測定によりクラックの発生を抑制しました。

床版縦壁のコンクリートを、設計では高炉セメント(24-8-20BB)でしたが、普通セメントに変更し、床版設置強度早期に出し、工程の短縮を図りました。

5. おわりに

土木工事では一現場ごとに日々自然を相手にした対処を求められます。その為、常に安全・安心して施工が行える様、現場に適した工法を考え実践することが無事故・無災害で工事を完成させる第一歩だと考えています。
最後になりましたが、この度お世話になった高知県中央東林業事務所の監督職員様並びに関係者様のご指導・ご鞭撻及び、地域の皆様のご理解、ご協力を得て無事故・無災害で工事を完成させることが出来ました。この場をお借りして感謝を申し上げます。これからも『安全は全てに優先する』をモットーに今後も努力し続けていきたいと 考えています。  
拙い稿でしたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

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