HOME > 技術論文 >> ケーブルクレーン打設現場における工夫(川口谷川通常砂防工事)

技術論文

ケーブルクレーン打設現場における工夫(川口谷川通常砂防工事)

平成26年度 高知県優良建設工事施工者表彰 「高知県知事賞」

有限会社森木組 村山 高教尾阜嚼ン有限会社 尾普@正英


1.はじめに

いの町勝賀瀬地区の砂防ダム工事です。
本堤工は前年度の続きで生コンクリート打設、前庭工は土工および生コンクリート打設を行います。仮設ヤードから施工位置まで150mありすべての資材搬出入は2基のケーブルクレーンで行います。

工事概要

2.工事概要

工事名
砂防第21−3−4号川口谷川通常砂防工事谷川
発注者
高知県中央西土木事務所
工事場所
高知県吾川郡いの町勝賀瀬
工期
平成24年10月19日〜平成25年6月258日
 
工事概要
仮設ケーブルクレーン2基
土工(前庭工部) V=600m3
本堤工L=23.6 H=10.0m V=525m3
流路工L=26.0 L=11.5m
垂直壁工1基

3.現場の課題と対策、効果

@課題

本堤上空でA索B索のケーブルが交際する。ケーブル本線の緩みにより輸送時バケット同士が接触しバケットが落下する恐れがある。(またA索と県道仮設防護柵との 交点も接触の危険)

鋼製自在枠への詰石の運搬方法

@対策・効果

ケーブルクレーンのローチング部分にシール式プリズムを固定し輸送量に応じ光波計で高低差を計測し、本線の緩みがないか確認した。初期緩みも確認でき素速い調整対応が可能となりトラブルなく安全に施工できた。

安全対策

A課題

ケーブルクレーンのワイヤー摩耗により劣化交換の判断も重要であるが、何トン輸送したら危険という具体的なデータがなく、またワイヤーの長さやウインチの操作方法などでも劣化の差が出てくる。この為ワイヤーを安全範囲内かつ、経済面及び資源の有効活用の点から安全側で適切な損耗率での交換時期の見極めをどのように判断するか課題となった。

安全対策

A対策・効果

旋回ワイヤー、巻き上げワイヤーの劣化交換時期把握の為、各ワイヤー径の計測を行った。計測には目視が容易で正確なデジタルノギスを使用し公称直径に対し7%以内(JIS規格) に達する前に交換を行い安全に輸送できた。
この工事の架設延長では明確に1400m3 (3290t) の輸送が安全余裕をもった適切な交換時期であることが把握できた。

安全対策

B課題

現場まで150mの急峻な山道を毎日数往復することから、作業中はもちろん移動時においても安全意識を継続していなければ事故やヒヤリハットの確率が高くなる。毎日の安全対策でも人は忘れるもので安全意識の継続をどうしていくか思案した。

B対策・効果

エビングハウスの忘却曲線によると1時間に56%、1日後には74%も忘れるということで作業員の安全意識の継続を図るために現場までの往復で歩く作業道を活用し 『見せる化』を実施しトークナビと子供の写真、自分の心に問いかけるオリジナルの詞作業道には安全標語の掲示を行った結果自分が怪我をしたら家族が悲しむと言う事が頭の片隅ではなく全体に常に広がり意識付けされ無事故で施工ができた。

安全対策

C課題

ケーブルクレーン打設で1日当たり最大50が限界である為、打設リフト数が増え工期に余裕がなく工程が厳しい。施工速度を上げようがケーブルクレーンによる資材搬出入の速度を上げることができない。

C対策・効果

2006年度から高知県が行っているワンデーレスポンスの試行工事として使用し効果のあったCCPM工程管理をおこない、各スパンの型枠・生コン打設や時間の掛かる作業を明確にした。

安全対策

時間の掛かる工程は?手間の掛かる作業は?協力業者さんの都合は?

安全対策

考えられるロスや短縮できる方法を絞り出し簡易ソフトを使用しCCPM工程表へ

安全対策

結果、毎週の各工種の進み遅れをすべて把握できるCCPM工程表を使用し綿密工程と週間予定表で発注者と協議することで、段階確認や立会をいつ行えるのか専攻して予定を組むことができ、待ち時間が無くなりワンデーレスポンスが実現できた。

安全対策

4.おわりに

この砂防ダム工事は発注者と弊社社員が一丸となり工夫を凝らし様々な問題を乗り越え事故もなく安全に工事を完了する事ができました。
弊社としましても現場の工夫や対策には新たな道具や機械を極力購入することをせず現状の装備内で知恵を絞り出し『お金の掛からない工夫』ができたと自負しております。今後も強いチームワークと努力、知恵を絞り土建屋魂をもって安全に、そして良質な品質の土木構造物を施工していきます。 ありがとうございました。

このページの先頭に戻る